男は中身とは、真実なのか
男は中身。何十年も、自分は男を外見ではなく中身で判断していると思いこんでいた。
ちなみに自分は、面白くて会話ができる人。イケメンでなくても、雰囲気が良い人を好むと思っている。
しかしそんな内面のタイプも、イケメンを目の前にしたらたちまちどうでも良くなることに、ここ一年の間に気がついたのである。
きっかけは、こんな出来事。
とある日本ではない国在住の私だが、ワーキングホリデーがあるこの国には日本人も多い。よって、愛想のいい日本人女性にちょっかいをかけてくる男が腐るほどいる。
しかし道で声をかけてくるそんな男たちは、揃いも揃って妙なおじさんか、ちんちくりんで魅力のない男たち。
彼らは日本人を見かけるとここぞとばかりに声をかけている。そして日本人が英語を話したいのを知っている。
だから、変なオヤジやちんちんちくりんでもある程度は成功してしまうようで、カフェなどでよくこの手の男と日本人の女性が一緒にいるところを見かける。
そんな光景を横目に、なんであんなのについていくんだろうと正直少し馬鹿にしていた。そしてこう思っていた。
「いくら見た目が良い男でも、道でわざわざ英語もままならない日本人女性に声をかけてくる男は、下心しかない変態やろうだ。自分はそんな奴らに絶対についていかない」と。
そんな勝ち気な心を持っていたので、変態やろうに「ニホン人デスカー?」などと声をかけらても、「あっちに行きやがれジジイ」と冷たい視線を浴びせていた。
私は一味違うわよ、そんなに簡単じゃないの。とイキがっていた。
そんな私がある日出会ったイケメン野郎2人組。どちらも背が高く、おまけに若い。
結局彼らはアジア人好きの、遊び人だった。評判も悪かった。もちろん体目当てでしかない。そんなことは初めからわかっていた。
しかし、若くてイケメン。そんな人たちとツルムなんて、これから先の人生で一生ない。これはきっと神様からのプレゼントかもしれない。
そう思った。そして脳みそってコントロール不可なもので、その最低なイケメン達のいいところばかりを必死に探し、「良い人」だと思い込もうとする。
ちらほら見える性格の悪さも見ていないふり。「体目当て」も見えないふり、友達になれるかもと、底辺から必死に存在もしない希望を見出そうとする。
これぞイケメンパワー。
「いくら顔がよくても性格が悪かったらダメよねぇ。」
その通り。その通りだけど、きっと私は今まで自分の想像を超えるイケメンに会ったことがなかったから、余裕をかましてそんなセリフが言えていたのだろう。
ダメだとわかっていても、誘われれば脳みそよりも心が先に勝手に動き、ふわふわと会いに行く始末。
言い訳だが、私はちょうどその頃仕事に疲れ切り、鬱々としていた。そんな中、彼らが表れた。つまらない日々に突然キラキラしたものが振ってきた。それでイチコロ。
しかし今はその仕事も辞め、好きなことに費やす時間ができた。たちまち、イケメンたちのつまらなさがちゃんと見えるようになった。
なので彼らとはもう会っていない。会わないようにするには必死な努力が必要だった。以前ほどではないが、連絡がくるとついつい心がウキウキし始め、前のめりになってしまうからだ。
この経験は貴重だった。自分は一味違うことはないし、まぁまぁ簡単なことが発覚したからだ。
男は中身。以前のように堂々とはもう言えないな、としみじみ思う今日この頃。
しかしどんなにイケメンといえどボウズ頭にした瞬間に萎えてしまう。なので悪いイケメンには是非ボウズにして頂きたい。そしたら少しは冷静になれそうだ。
なんでだろう、だめなんだよなぁ、ボウズヘアー。
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